サカナの骨がのどにひっかかった。これ つまみ取るのは難しい。こんなこと あなた方考えた事あるまい。 皆さん 医学について余りにも無知過ぎるから。なぜ難しいのか ちっとは考えてみよ。
 ここで二三 例をあげて 「医者とはどんなものなのか」考えるヒントにする。
 ①  これ「ジビカ」の守備範囲だが 「インコウカ」のしごとだ。まとめて「耳鼻咽喉科」となっている 医者・医療機関の看板は。そこでの医者の技術はピンからキリまで。藪医者から名医まで。
 ②  大学で専ら「顔面神経」ばかり研究してた人が 突如開業 「耳鼻咽喉科」を標榜する。ミミ・ハナ・ノドなんて解るはずがない。
 ③  脳外科専門だった人が開業して 脳外科・外科・内科を標榜する。内科はあらゆる疾患がその守備範囲になるが 外科は「手術対象になる病気」とだけ向き合っている。つまり診る病気の種類が極端に少ない。ムチャクチャ簡単に云うと 外科は切る方 内科は外から眺める方。
 ④  「内科」と看板にあっても得意なのは消化器だけで 糖尿病 心臓 肺 腎臓の病気はよくわからない。こんなのはいくらでもいる。つまり病気全体がみえてない。無論「うつ病」なんて とんとピンとこない。
 ⑤  「一般内科」ほど難しい科はない。あらゆる疾患が頭の中に入ってないと務まらない。逆に云うと「専門家」になればなるほど「仕事」は楽になる。一般には専門家は偉いんだと思われがちだが 全くの見当違いである。
 故・榊原東京女子医大名誉教授いわく:
「私の妻が病気になったら 内科・外科・産婦人科に精通してるお医者さんに診てもらいたい」と。これ名言である。だが今では これに更に麻酔科と精神・神経科にも通じている臨床家が望まれる。
 日本の医学教育は 根本的に重大な過失を犯している。
 まず第一に 人間全体をみる 次に病態の本質を押さえる。
ところが現実は まっさかさま。なにがしか研修医のトレイニングを受けるようだが 日本人の特徴・中途半端 何事によらず。そのままいきなり 脳外科 眼科 小児科 泌尿器科・・・の教室にはいる。つまりその「タコツボ」に閉じこもったまま 周りが全然見えなくなる。精神科の事など知る由もない。しかも専門医のようで専門家ではない。それでいて 「私は眼科が専門で 腹痛なんて言われても解りません」と平気で云う。婦人科医は極言すると 人間は「オンナ」である・・・なんて言い出しかねない。つまりヒトを人として見られなくなる。
「タコツボ」の中でアタマがコチンコチンに固まってるのだ。
 加えて悪いことに 「医学博士」の問題だ。研究だとか称して「どうでもいい 臨床に何の役にも立たない」仕事に若い優秀な頭脳が浪費されている。そもそもひとりの教授に 臨床・教育(講義)・研究の三つの仕事をさせるのは無理を通り越して狂気の沙汰だ。仕事がすべて「虻蜂取らず」となる。完全に三部門にわけるべきだ。結果 臨床博士 教育博士 研究博士はあっても良い。
 この臨床博士ができる過程で 優れた臨床医が生まれる。
 「一般内科専門医」を創れ。
 条件として少なくとも
 ①  二年間継続して救急外来医療に従事すること。
 ②  引き続き五年間 週一回一日は救急外来患者を診ること。
 ③  ②の期間は「一般内科診療部門」で入院・外来患者の診療にあたること。
 救急外来では「全科」の患者が診療対象となる。
 この「一般内科専門医」の上位に「臓器別の専門家」を養成すれば良い。この段階では その医師個人の「趣味」に近いものとなる。