腹腔鏡下手術 こんなもの止めてしまえ!

「名医であればあるほど 手術創(切り傷)が大きい」以前はこう言われた。開腹したら可能な限り腹の中を見る 見落としを避ける為に。ところが60年代にはすでに アッペ(虫垂炎・俗にモウチョウ)の術創が小さいほど・・・あの外科医者は手術がうまいと評判になった。患者=素人に医者は迎合した 右下腹部が痛けりゃ皆アッペ そして儲かった。若い女が海水浴で超ビキニをはきたい 傷がめだたない これがその理由だ。いまは何故かアッペ患者が激減してる。
 外科医の間では 「アッペに始まりアッペに終わる」と言われる。
つまり新兵医者が初めて手術させてもらえるのはアッペ 易しいから。しかし診断に手間取った手遅れのアッペの手術ほど厄介な ややこしい手術は少ない。
 もうひとつ 手術創の小さい患者 本当はアッペでない(誤診・炎症が軽いか無い)患者 帝王切開された患者に術後イレウス(癒着性腸閉塞)が多い。今 腹壁に小さな孔をあけ腹腔鏡をその孔から突っ込み モニターに映し出される画面を見ながら 胃癌の手術(例 王貞治さん) 大腸がん手術(鳥越俊太郎さん) 胆嚢摘出術など・・・ある意味で流行り?みたいにテレビも放送する。ところがお二人とも術後腸閉塞を経験したでしょ。「なんでだろう」と思いませんか?
 そしてあの手術場の器械だらけの仰々しさ 設備費は膨大 手術室に大勢のナースたち・・・おかしいと思いませんか?以前は もっと狭い小さな部屋で 医師・ナースら十人もいれば十分で悠々 腹の手術なんてやっていた。
 胃潰瘍や癒着の無い胆石の手術なんて四十五分もあれば終わった。
いまは 腹腔鏡下でやってて「こりゃ手術続行無理」とわかったら 急遽 旧来の通り でっかく腹を開ける(開腹)そしてホイホイと手術を進める。ここまで読んだら「なんかやっぱりおかしいな 変だな」と思わなければ・・・それこそ変でしょ?!
 手術創が大きくても 傷の治りが早く みてくれが良く 術後の痛みをうんと減らす そっちの研究をドンドン進めるべきだ。これこそ臨床家の務めだ。
 話をまとめると
①  腹腔鏡下手術は手術者の視野が狭い。局所解剖的で「人間を全体として見ない」・・・「今の医者」そのままだ。
②  手術室設備に膨大なカネがかかる。医療費も高くなる。
③  手術時間がながい。
④  腹の中の諸臓器を手で触れない。テレビの手術場面を見てるのと同じ。 実はこの触感を覚える 感じ取る事がいかに重要なことか やった事の無い人には理解できない。
⑤  テレビ・モニターでは見習う若手は理解しにくい。進歩が遅れる。
 麻酔科の進歩が目覚ましく これあって初めてゆっくり慎重・注意深くあらゆる手術が可能となっている。麻酔科医にはいくら感謝してもし過ぎることはない。一般の方々は勿論 訳のわからんロートル医も 麻酔科医に深くふかく感謝すべきである。
 わざわざ腹腔鏡下手術なんて ある種「趣味の手術」とも言える。
 全くの蛇足になるが・・・
東京オリンピックの頃の話:
 腹部手術にかけては天下逸品だったAKY名誉教授:
この教授の触診時の手の動きは芸術的で そっくりそのまま真似している。ある日の夕方
「いったいぼかぁ あなた方に何を教えていたんだろう!?」
何事ですか?センセイ。
「いやぁー 参ったよ。イトコの往診に行ってね 東京へ。そんで診間違えちゃった。死んじゃってねぇ。あーっ ほんとに参った参った・・・。静寂・・・。
 当世流行りのプライバシー・・・ふたりだけの話。FIN。