地獄編〜7  基礎学力の貧困・・・ヤブ医者誕生

 胸のレントゲン写真を撮るのと同じように 立った状態で正面からたった一枚 お腹のX−rayを撮る。できれば仰向けでもう一枚撮っとくともっと上等。結果 「小腸内にガス像」を見たら 即 異常。学生でも判る。
 以下 政令指定都市の夜間急病センターでの話。かなり前の事。   当時は
準夜勤が6PMから0AMまで。深夜勤が0AMから6AMまで。有志開業医が順番で担当。
 私は5分遅れて診察室に。準夜勤の医者は 年上で 挨拶してもブスッとして口も利かない。無礼千万 態度がでかくて横柄 生意気過ぎる。年寄りのヤブ医者にこんな態度をとるのが多い。偉そうに。
 診察机のシャウカステンにフィルムが一枚。看護婦さんに 「この患者さん どうしました?」と聞いたら 注射して御帰りになりました・・・。
さぁ 大変だ。実は 小腸に堂々たるガス像がある。直ちに 患家に電話。やはり お腹が痛くて ゲロゲロ吐いている。イレウス=腸閉塞に間違いない。即 大病院に入院治療の手配をした。
 つくづく思う。
 「臨床医学は本当に難しい。病人を診るのは難しい。ヘトヘトになる。特に救急重症患者を いかに速やかに的確に診断し治療するか・・・本当に難しい。」これは 実際に体験した事がないと絶対に解らない。日頃 救急車に追いかけまわされてる位経験を積まないと ろくでもない事をしでかす。だから とても怖い 患者を診るのが。
 しかし この症例は 学生でも診断できた筈だ。
 あとで カルテを見てまた仰天。
 「XP OB ?」と書かれてた。・・・XPはレントゲン撮影検査の事。OBは ドイツ語 ohne Befund の略で 「特に異常なし」くらいの意。
この場合 御丁寧にも OBの後ろに?が付いている。何のことはない 分かっていないのだ。それでも平気な顔してる。この図太い?神経には呆れ果てた。
 
 日頃 患者がろくに来ない。暇だ。こんな奴に限って会議にだけは しゃしゃり出て来て「役員」になる。威張る。口先だけペラペラ・ベラベラ。医師会の幹部になっている。
こんなのが沢山居る。急病人に対応出来るはずがない。
 実は 大学教授にもこれが多い。偉くなると会議・会議で 診療どころか研究さえも儘ならない。
この現象は 特に日本で目立つ。
 文化系では 授業の負担が異常に多く 加えて会議・事務仕事に追われ 研究時間の捻出に苦心してると聞いている。