地獄編〜61  この男奇人・これでも内科教授?教授を採点する(5段階法)(38)

今回から暫くの間1960年代の実話。前後様々 徒然なるままに書き残す。
新任内科教授の実態について奇人流の採点をする。1から5まで5段階で採点。5点を最高とする。
一  マドンナと奇人。教授宅を訪問。家の中雑然。破れ障子に子供が五月蠅い。推して知るべし生まれと育ち。・・・家庭人として2点。
二  この教授・内科医なのに聴診器は象牙のベル式(オニズカ式)だけ。大昔のまんま。当時インターンでもリットマン型を使用(Littmann)。心音・呼吸音の聴取には膜面とベル型をうまく使い分けるのが当り前。象牙を患者の胸に当てるだけの教授。恰好だけで聴いてはいない。・・・臨床の最初歩のひとつ1点。
三  聴診技術を指導できる先輩無し。アメリカ帰りにも教えを乞うたがまるで無能。何用あって彼を有給助手にしたのか?英語も冴えない無用の長物。・・・人事管理1点。
奇人は考えた。何事も最初が大事。嘘を身につけたら万事休す。心音・呼吸音など教材用のレコードやカセットテープを購入。夜間静かな状態で聴き解説で学んだ。聴診の世界は一種芸術的と奇人は信ずる。
四  人は無知であるのが当り前。知らないことは知らない。解らないことは解らない。こんな解りきったことがこの教授には解らない。メンツが許さない。潔くない。威張るだけ。訳もなく患者を怒鳴りつける。教室員が異を唱えるとフグの如く膨れて食ってかかってくる。品格ある大人とは全く無縁。初代内科時代の優れた臨床医を使いこなせず彼らを追い出した。暴君教授回診に付き添った病棟婦長も後年 精神障害を来たした。遂には医局旅行の夜「これでも東大では人格者のほうだ」とぬかしおった。あきれ果てた。助教授と奇人夜遅くまで研究室。「あの二人何の陰謀企んでるんだ」。ふたりビックリ仰天。開いた口が塞がらない。開業医からの紹介患者を診て返書。ハガキに一言「OB」のみ。非礼此処に極まれり。この開業医他大学出身者。超真面目。烈火のごとく怒り「ふざけやがって!バカ野郎!二度と紹介しないっ!」。開業医が新任教授の臨床実力を試したのだ。バカ・トンマ・マヌケ教授。奇人の10年後輩が早々と「内科専門医」の資格獲得。俊英だ。教授は嫉妬の塊。最後まで彼を重用しなかった。目の上のタンコブ若い秀才を恐れた。見殺しにした。・・・指導者としてほぼ零点に近い1点。
五  自分は非力と悟れば「皆が切磋琢磨・問い正しあって全能力を結集しよう」そして「患者の為に最善を尽くそう」「他科とも協力し合って大学全体を盛り上げて行こう」・・・と何故考え覚悟でき出来なかったのか?
才識ある者はさっさと去り 屑ばかりが医局に残った。
余りにも勉強不足・医学の基礎知識が無さ過ぎた。診療技術も劣悪過ぎた。優れた臨床医が育つ訳がない。.