地獄編〜32  この男また汽車に乗る・ガンコ・変人・奇人(13)

 父から母へ・・・
  ① 父の「妹夫婦」が首都圏都市の駅構内で商売している。この叔母は初婚。夫に三人の子供あり。みんな男・思春期。子供の養育・教育について全く無知。無教養。その都市の郊外一軒家に住む。いわゆる「村落」にポツンと一戸。新築。
  ② 父は東京・単身赴任。この妹から父に依頼あり。母とガンコがその家に同居し 子供らの面倒を見てほしい。無論家賃は要らない。自分達夫婦二人は忙しいので店の二階に住み 専ら商売に励みたい。
  ③ 母は渋った。相手は「ペンペン草も生えない」とぬかしおった長兄の妹だ。この話全く信用していなかった。母は常日頃 「親族・兄弟の悪口は絶対言うな!!」と口を酸っぱくしてガンコに言っていた。だから父は長兄の傍若無人な振る舞いなど知らなかった筈。父の母への殺し文句「子供の教育には東京が良い」。
 翌年二月初め前後また汽車に乗った。
 友人たちが言った言葉・・・「東京の奴らに負けるなっ!」。
 教師の色紙・・・・・・・・「努力は天才に勝つ」。
 門司駅には多数 母の親族が見送りに来ていた。