地獄編〜42  この男医学部医学進学課程入学・ガンコ・変人・奇人(21)

 年が明けた。不思議な位冷静だった。年から年中 キリキリ・カリカリ・カッカカッカだったガンコ頭が 奇妙な程「スッキリ頭」に切り替わっていた。雛祭頃国立一期校の試験。60日後には勝負。猛烈なラスト・スパート。一旦入学出来たら後は確実に医者になれる・・・三大学の医学進学課程を選択・受験。ふたつ合格した。当時日本全体で医者のタマゴは一年間に二千数百人生まれた筈。
 浪人したのがラッキーだった。一年上のクラス迄は「医学進学課程」がなかった。2年間の教養課程で「医学部」受験のための必要単位を取得し「専門課程」を受験・合格せねばならなかった。二度手間だったわけ。
 合格の噂は忽ち近所に広まった。当時は医学生の家庭教師は人気が高く依頼が次々来た。今の事情は知らない。あの親切な開業医の奥様が盛んに宣伝してくれた。忽ち現金が手に入り本を買えた。嬉しかった。同時に世間様のガンコを見る目が変わった。左官職・新沼謙治が「嫁に来ないか」のヒット曲で親戚が二千人に増えた・・・あの「論理」と同じだ。
 更なる大変化。蚕室から小さな公営住宅に転居。四月?。この時言うに言われぬ精神的・肉体的呪縛から解放された喜びは今も忘れられない。もの凄く嬉しく感激・落涙。大学入学と共に・・・。
 この教養課程でまたも「はてな?」が生じた。兎に角「つまらない」「面白くない」「不合理」だ。
月曜日から土曜日まで必修科目でぎっしり。おまけに講義がふざけてる。物理・化学(有機・無機)は勿論数学まで自分のノートを見ながら黒板に書き写すだけ。一体教える本人たちはほんとに解ってるのか?更に馬鹿げていたのは英文法を下手くそな発音の英語で講義。この教授の英会話が通用しないことは後日ガンコは証明済み。もっとアホ臭いのが教授による体育実技。サボりたくてもサボれない出席簿。時間の浪費・くだらんと思った。この教授いつだったか天皇主催の「園遊会」に出席してるのを偶然テレビで発見。呆れかえって あいた口が塞がらなかった。そもそも園遊会なんて何用あってやってるのか?!また嬉々として?参加する連中の見識を疑う。恥を知れっ!!総じて日本人は深く思慮すること無く 角が立たないように訳も無く ある方向に「雪崩込んでいく」。大東亜戦争での発狂状態然り!! 今また新聞・テレビ・報道関係者がエラソウに喋り一定方向に「雪崩れ込んでいる」。「邪悪の道」へアホ・バカ・マヌケ共が一般大衆を誘導している。「今に判る」では遅すぎるが「今に判る」。とんでもない悲劇がこの国をまたも襲う。これは日本人にいくら言っても解らない。「仕様が無い」の「論理」と「雪崩れ込む」性癖に振り回される大多数の日本人が無意識のうちに持っている超難病だから・・・。取敢えずは「園遊会に出席拒否」した氏名を公表・激賞せよ!!。
 論理学・心理学・法学概論・哲学概論・体育衛生・・・一体あんな講義でどんな「教養」が身につくと言うのか!?!時間の浪費だ!!・・・。
考えた。次を徹底した・・・。
教養課程はドイツ語・英語はきちんと修める。落第は避ける。「可」で押し通す。時間を家庭教師に多く振り向け専門課程四年間の生計を考慮・貯金。  英語は教えることによって自分の実力を磨きあげる。大学の授業料・交通費・衣服費・図書費・・・全て自力で賄う・・・家での食費を除いて。